のび太の結婚前夜
7月の春日部店のおすすめ
藤子不二雄F/小学館/599円/9784091498717
春日部店 コミック担当 稲葉順
いままで、何度読み返したことだろう。笑い、泣き、熱中して読んでいた学生のころ。大人になっても、何かあるたびに、読み返して、支え、励ましてくれる存在。元気をもらい、勇気をもらった、不動のNO1マンガ「スラムダンク」(なんたって、自宅のパソコンのスクリーンセーバーがスラムダンク名言集なのです)。数々の名言や名シーンは、いまでも鮮やかによみがえり、まるで会話しているように胸に息づく。その作者、井上雄彦氏からの年に一回のプレゼントが、この「リアル」である。
このリアルでは、車イスバスケットと3人の少年を中心に、圧倒的な現実、絶望、挫折、そして少しの希望が描かれている。人は誰もが、自分が一番不運で、苦労をしてきた、と思いがちであるけれど。この「リアル」で描かれているのは、そんじょそこらの不運や不幸ではない。どれだけ一生懸命に生きようとしても、押し寄せる現実に負けてしまいそうになる。つぶされそうになる。けれど、そこから逃げるべきではないのだと。繰り返し押し寄せる「リアル」から目をそらさず、安易に未来に逃げたりしていては、何の解決もない。自分には目標があるから、今はいい加減でいい、という過ごし方はおかしい。苦しい「今」を生きるからこそ、それが自分の道になる。そして、いつか繋がる自分の道、自分だけのゴールをめざして、どんな環境であっても、死ぬまで続く自分の道を、生きていくのだと、教えてくれる。
言葉でいうほど、簡単なことじゃない、と。自分の道を、ただ「今」という瞬間を、一生懸命に生きるということが、どんなに困難で苦しいか、を同時にこの「リアル」は示す。なぜ、人の心をこんなにも動かす作品を生み出すことができるのか、同時進行の連載「バガボンド」(講談社コミックス)を見ても、井上雄彦氏のすごさには驚くばかりである。そのすべての作品が、読む人の状況、心の在り方によって、響く場所も作る形も変化する。その、読み手が自由に受け取ることのできる、よい意味の空白が、井上作品には存在する。
どれだけ終わりだと思う状況でも、それは先に繋がるはずだ、と。「リアル」を読んで、感じてほしい。
「お前は俺のヒーローだ。いまでもそうだ。」胸に、きます。
井上 雄彦/集英社/各620円(税込)/4088773527
別府店 祐保博美
この漫画現在ニ巻まで出ている。そこに描かれている言葉やファッションが余りにも上手く現在を捕らえていることに驚き、人の感情や交わされる思いの多さにぐったりし、多様な人物がそれぞれ別な人格として描き分けられその世界を生きている事に拍手喝采した。
その多様な人格を繋ぐヒロインが、松下弘子という女性編集者で、この漫画を読んだ殆どの人が彼女に好意を抱くであろう事は、彼女が昔から物語の主人公に必要とされる「勇敢さ」という資質を身につけているからかも知れない。と言っても、当世風の作品にふさわしい形での「勇敢さ」であるのだが。
思うに、この作品から感じる勇敢さというのは、自分の殻の外に出て、価値観の違う人と何とか渡りをつけていくという、その前へ向かう気持ちの動きの事ではないだろうか。作品中には公平な視線が一本貫かれているようで、それは複雑に奇形化された登場人物の特殊性を全てフラットにして、どんな人でも逃げずに渡り合っていこうとする作者=主人公の勇敢な男気(女気?)が感じられる。
みんな「正直しんどい毎日」をサヴァイブしていく中で、別に話したくない人にも最低限の意思疎通をし、バカに見える相手にでもそれなりの敬意を払って接していくのが、現在の社会にある暗黙のルールである事を骨身にしみて気がついていく。ただそのルールも馬鹿にしたものではなく、そのしんどさを徹底的に貫く事でその先にあるものを掴む事ができる、という事を作者が言いたかったのかはわからないが、少なくとも私にはそう読めてしまった。
(安野 モヨコ/講談社/税込540円)【ISBN】4063724530
広島店 辻山良雄
本屋仲間で飲みにゆくと、話はやっぱり本の事とお店の事になる。今まで自分でいろいろ経験したことや友達からの話を聞いていると、このネタたちがどうにかならないだろうか?といつも思ってしまう。どうしてかと言うと面白いのだ。私が読みたい又は観たいと思うのが、ギャグなコミックものと「本屋はとっても大変なんだぞぉ」という現実が描かれたテレビドラマだったりする。自分で書けたり描けたりしたらいいなぁと思うものの、思うだけ。最近はコミックエッセイが売れている。ならばどこかの誰かが書いてはくれまいか!とわぁわぁ言っていると、友達がとうとうこんな本を発見してくれた!「ウンポコ」という雑誌に掲載されている、久世番子さんの「暴れん坊本屋さん」である。今現在vol.2まで出ているが書店で働いている人間にはツボなネタが満載。身内ネタなのだがおすすめの一冊である。今年の秋には単行本にまとまるとのこと。自店では平積みで売ろうと計画中。秋が楽しみである。後は本屋ネタのテレビドラマ化を夢みる今日このごろ。
(新書館/560円)【ISBN】4403661106
大森店 河又美予
とても好きなんだけど、これおもしろいよとすすめるのが少し惜しいような気がする本がある。自分だけのものにしておきたいような、うっかりすすめてしまったがために全国の人が「あれいいよねー」なんていうようになって、少しさみしく思うような。いや、みんなが好きになってくれるのはいいんだけど・・・。
前おきは長くなりましたが、浅野いにおの「素晴らしい世界」はそんな本です。夢やカスミを食ってけるほど世の中は甘くなくて、でも前へススメ、だって世界はこんなにも素晴らしい。というメッセージが描かれています。
もう2年も前に出版された本ですが、東池袋店では未だに毎日のように売れている、ひそかなヒット作。そのわりに声高に「いいよねー」とは聞こえてこない。でも新作はまた売れ続ける(6月に「ひかりのまち」がでました)。つまり、買ったみなさんが、好きになって自分だけのものにしている素晴らしい本です、きっと。ひっそりとおすすめします。
(浅野いにお/小学館/1・2巻各560円(税込))【ISBN】vol.1:4091572111、vol.2:409157212X
緊急発売!大変だ!ガラスの仮面が出るぞ!と同僚と友達にメールを送りまくった。前の
巻からは六年ぶりだ。ところで前の話はどこで終わったのだろうか?と談義になるが...私は亜弓さんが好きだよ、マヤの紅天女じゃなくって、絶対亜弓さんだよ!ジュリエットは素敵だったもの!でもいちを主人公だからマヤじゃないの?そうかな?えっ、じゃあ、亜弓さんのファンだったらやっぱりあの巻が好きでしょう?乙部のりえ!そうそうそう!あのしかえしする所はめちゃくちゃかっこよかったよね。吸血鬼役だよね。他に好きな所といえばあそこもいいじゃない?マヤの「毒」の演技、わかる?わかるわかる!!「ふたりの王女」のオーデションでしょ?あれすごかったよね、他の娘たちと演技のレベルの差がこぉーんなでさぁ、あとあとあと、ロボットの時もよかったよね、カクカクカクって演技。人形の役もやってたよね。一人芝居もして、あの日常のやつ。体育倉庫の「通り雨」でしょ?そうそうそうそう!!何でも聞いてよぉ!!あとマヤがマグカップで飲むマイムやった時に麗がストッープ!ってマイムの指摘したんだよね!指摘の仕方がすごいの!麗と言えば一角獣がさぁ.........ガラスの仮面愛読者の話はつきません!!祝・新刊!
(美内すずえ/白泉社/410円(税込))【ISBN】4592170024
大森店 河又美予