琉球空手、ばか一代

Ryukyukarate 五月女ケイ子さんのイラストが目に入り、ふらっと手に吸い込まれるようにして、購入。読みながら、何度も著者紹介を見返しました。確かに1955年生まれなのに、どうして「ブーム」が同じなのか?というか・・・あれっ何気にわたしの年齢詐称?いや違うって、目をこすりながら読みました。そしてげらげら笑いました。この本は作者が空手にいかようにのめりこんだかの話で、兄の影響でわたしも鉄下駄をカジュアルにはきこなし、毎朝庭に生えている雑草を飛び越えていた。(わたしも麻じゃなくてよかった)もちろん「空手バカ一代」も全巻読破。バイブルと化し、ろうそくの前で何度か正拳つきました・・・ううう(涙)たぶん、わたしだけじゃない。みんなあの時代の男子は浮かれていたに違いない!おまけにわたしは男子じゃないっ!ただの浮かれていたアホでした!そんな甘じょっぱい感じまで思い起こさせてくれました。
申し訳ないことですが、今野敏作品、これが初めてなんです・・・。ほかの本もちょっと読んでみたくなる。装丁とはなんともすごい力を持つのでしょう。ケイ子先生っありがとう!だから大好きな本。

渋谷店のおすすめ

今野 敏/集英社/499円/9784087462975

渋谷店 原田真弓

6月 16, 2008 だから、大好きな本 |

パリの本屋さん

Parinohonya ほとんどの乙女はパリが好き。どうしてかな。と時々思う。それはやはり行ってみないといかんのでしょう。でも日本の国さえ迷うわたしが一人でいけるはずもなく、誰かと一緒という性格でもなく・・・。無念。
そうしたときには、こうした本を手にして、あれこれ思う。確かにほかの人の目から見た「パリ」ではあるけれど、そこで発見するものは、確かにわたしの見た「パリ」であることは間違いない。
わたしの見所は、「ラ・ユンヌ」の平台。おそらく真ん中のものは、届かないんじゃないか?見えないんじゃないか?と思った。完全に日本の書店であの陳列はないようにも思うけど、上から見ればなんともキレイ。しかも自然に売れたと思われるのに、本の積み具合、高低のなんとも芸術的なことと、ほうっと思った。
たぶん、そういう発見、もしかして現地にいったら背の低いわたしはわからなかったかもしれない。そう考えたら、やはりいくのもいいけど、読むパリもすてき。
だから、好きな本。

ジュウ・ドゥ・ポゥム/主婦の友社/1,890円/9784072615744

渋谷店 原田 真弓

5月 26, 2008 だから、大好きな本 |

暮らしの眼鏡

Kurasi 「暮らしの手帖」の記事以外の花森安治の文章を初めて読んだ。イメージが違って見えた。今まで、やわらかいイメージがあったが、このエッセイは意外にべらんめぇで、たくましい。ちょっと意外。でもその戸惑いは嫌な感じでは決してない。わたしの例えはいつもわかりにくいと言われるのだけど、あえて例えれば、中学校の同級生の男子に夜祭で出くわし、ドキリとした感じ?アレ?あいつって、うちらと同じ組の?へぇ~とかって友達を言い合いながら内心、動揺したような。そんな感じの戸惑いです。
  それは中学のときに夢中になっていた伊丹十三のエッセイを読んでいたときに感じた魅力に似て、引っぱられるような力強さがあります。心惹かれます。それよりも、やや乱暴に大口開けて笑っていても許されそうな、おじいちゃんみたいなほどよい距離感があり、気楽でいられそうな気がして、そんな心地よさもあります。
  わたしも一度くらいは職場の花といわれてみたいのですが・・・そこはなかなか、素地というものもありまして、うまいこといかないものです。
でも、大好きな本。

花森安治/中央公論新社/700円/9784122049772

渋谷店 原田真弓

3月 20, 2008 だから、大好きな本 |

ねにもつタイプ

Nenimotu それほど反射神経が悪いわけでもないのに、たいして冒険したり挑戦したりの「ならず者」でもないのに、死ぬかと思ったことは今までに何度かあった。しかもものすごく相当間抜けな事情で。家族はあまりのありえない話に大笑いして心配は後回しだし、あとあと友人に話してもねぎらいの言葉もない。
流血しているのに!腕もぷら~んと骨折れてます!のに。

たぶんそういう人は何人かの割合でいるように思う。ルールを設定されているのにそれになじめない、その枠で考えられない。はなからそこから逸脱している。そこにいろといわれているのに、じっとしていられない。他人から見ればありえないことばかりが頭に浮かんで、ふらふらとそれに手を伸ばしやってしまう。自分でも恥ずかしさより前に、どうしてそうなったのか、そう思ったのか自分に不思議でならない。

岸本さんのエッセーは、そんなわたしなど及びもつかないほどの不思議さにあふれ、もちろん、いくつあっても命が足りぬ生活をおくってきたであろう。いやきっと二つくらいは命をもともと持っていたのではないか?と思う。きっとそうに違いない、すでにもうひとつくらいはなくなってしまっているに違いない。
まっすぐに正解の道にすすめる子をうらやんだことはいくらでもあるが、もうこの歳になっては戻ることも治すこともできず、あきらめの境地もある。そう思えるのもこの本のおかげです。だから好きな本。

岸本佐知子/筑摩書房/1,575円/9784480814845

渋谷店 原田真弓

2月 5, 2008 だから、大好きな本 |

私の男

Watasi なにか面白いものない?と、職業柄かよく聞かれます。相手はわりと軽いノリで聞いてきているのはわかるのですが、どうしても肩に力が入ります。わかっちゃいるけど、そこで手を抜けないのが業というもの。ただ、なかなかいいものであっても紹介できにくいというのもあります。確かに、おススメして夢中になられてしまうのも(書店員冥利にはつきますが)そんなのが好みだったのかと勘ぐられるのもアレでして、で、困りものです。話の流れでうまい具合にでもならないと、これもおススメですよとはなかなかいえたものではありません。

そして、コレ。「私の男」ですが、心洗われたり、何かを得たり、胸のすくような思いがあったりはまったくしません。かえって最後のシーンなどはもやんとした、なにか、気持ちの「オチ」もつかない、読後感。それは筆力のせいなのかもしれませんが、決して嫌悪感ではなく、血の濃さを思わせながら、鮮明で、なにか線の細い絵を思わせるような描写を感じます。すうっとた清らかさえ感じますが、よくよく考えれば、やはりその線にはしゅっと刀を抜いたような凄みがあり、「男」の指を人形にとえるところなどは、この場面のためにこの小説を書いたのではないか?と思わせるほどでした。

光は闇、闇は光。光だけでは光はなく、闇だけでは闇はないのですね。だから、好きな本です。

桜庭一樹/文藝春秋 /1,575円/ 9784163264301

渋谷店 原田真弓

12月 13, 2007 だから、大好きな本 |

つめたくてあまいお菓子

Tumetakute 振り返れば、レスパースのデザインである、「堀井和子の気ままなパンの本」(白馬出版刊・入手不可)の本と出会って、初めて書店員としてのやりたい仕事が見つかったように思います。
最初、料理書担当を命じられたとき、心浮かずにおりました。それまでの料理書というのは、やぼったくて、古臭い、お母さんが家族の食事を作るためのものって感じで、若い女性が、自分だけのために作りたいと思えるような料理の本はほとんどありませんでした。

出版社は口を揃えて「料理を作るというのが前提で、実用に耐えうるものでないと売れない」と言いました。それを、何度も洋書の写真集など見せながら、「こんなものをつくって欲しい」と懇願しました。そして、長嶺輝明さんと日置武晴さんが撮影した料理書を、当時は奥付にもないことが多く、1冊1冊探し、直接お伺いしたりして、お二人のフェアを組んだこともありました。

「わたしたちの欲しい本を」と、感じていたのは、みな同じ思いだったようで、それぞれのお店でそういう気持ちがあふれていて、だんだんとそのお店も増えていきました。もう10年以上前のことです。
いいなぁと思って奥付を見ると必ず「L’espace」(レスパース)のデザイン。この「つめたくてあまいお菓子」もそう。

つい手にしてページをめくりたくなる、だから好きな本。

黒川愉子/文化出版局/1,575円/9784579210121

渋谷店 原田真弓

9月 12, 2007 だから、大好きな本 | | コメント (0)

「怪獣記」

Htbookcoverimage_3 昔、「スーパーエッセイ」と呼ばれた本がありました。その当時考えられていた「エッセイ」というジャンルの枠には当てはまらないその本は、「昭和軽薄(文)体」とも称され、大人たちはどうとらえればいいものやらと思われていました。旅先では焚き火ばかりして、人生を深刻に問うたりもせず、意味をおかず、逆に無駄なことばかり。例えるならば、家族ドラマに必ず設定される、厄介で突拍子もつかないようなことをいつも起こすけど、なぜか憎めない長男といった感じです。

でも、それを面白いという若い読者たちに支えられ、その読者たちを支える店が生まれ、いつしか新しいジャンルができました。

「怪獣記」を、そのジャンルの棚にさす日を、待ちわびておりました。

そして、一気に読んでしまうのが、もったいないくらい面白かった。

UMAにしてもなんにしても、未知なもの、見えないものは、すぐに「ある、なし論」になります。人間というのはちっぽけなもので、世界には未知の生き物がいてもおかしくはない、いや、ガツンと一発懲らしめるのには、いっそのこと、UMA出てきちゃってください!という願いが叶えばいいのにと思います。

でも、それさえも利用してまで、自分たちの手中に収め、どうしてもすべてをコントロールしたいと思っている人たちって、いるのですね。

怪しく、げに恐ろしいのは人の心です。

そんなこんなで、いいも、わるいも、ひっくるめ、がある本です。

だから大好きな本・・・・なのだ。

高野秀行/講談社/1575円/9784062140775

渋谷店  原田 真弓

7月 24, 2007 だから、大好きな本 | | コメント (0)

LandLandLand 旅するAtoZ

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わたしはどこにも当てはまらない、そんな中途半端なものがすきで、どっちにするか?という場合には、ついそちらのほうを選びがちです。ほんとうは職業柄、みんな平等に面倒を見てあげなくてはいけないのでしょうけど。

本を子どもに例えると、見栄えのする子や世話をしなくても優秀な子、自分から前に出てくる子はたくさんいます。そういう子は光が当たるチャンスに、その時点で恵まれています。

そういう子たちは言いたいことがあって、それを的確に表現できる言葉が今までの言葉の中にあるからです。そういう子は最初からその枠で考えるからです。だから、他の人にきちんと伝わるのです。ほんとうに言いたいことがあっても、自分の気持に当てはまらない、的確な言葉を持たない子がいます。バックヤードで、もどかしくあえいでいる子を拾い出すことがあります。たいていは、多くの優等生に埋もれていて、取り出すたびに、「ほんとはいい子なのに」と思います。

きっとこの本と同じように思っている人がいるはずで、一人でも多く同じ気持の人に、手にしてもらえるようにしたいと願って、つい力を入れてしまいます。

この本も最初に手にした5年前「ほんとはいい子」だと思いました。しばらく手に入らず心配していました。また再び会えてほんとうによかった。こうしたチャンスに恵まれない子のほうが圧倒的に多いのです。

岡尾さんの本は、旅を含めた本に仕上がるまでのすべてに「これじゃなきゃ」と妥協はなく、自分の気持に忠実で、なによりすごいのは、その大変さを感じさせないところです。ほんとすごいなぁ。 

だから、大好きな本。

岡尾美代子/筑摩書房/945円/9784480422996

渋谷店 原田真弓

6月 27, 2007 だから、大好きな本 | | コメント (0)